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特集:「復興支援ボランティア白樺隊」が行く熊本県城南町/前編

◎あらためまして「白樺隊」って何?

ロシア白樺合板の専門商社である株式会社テツヤ・ジャパン、代表木村哲哉が隊長を務める「復興支援ボランティア白樺隊」。建築家や大工だけでなく、映画監督や絵描きなど、様々な職業の人々が志を同じくして、その都度色んなメンバーが集まっています

東日本大震災の後、2011年5月に陸前高田市に白樺隊は最初のDIY復興ドームを建設しました。DIY復興ドームとは、耐水性や耐久性に優れたロシア白樺の合板を用いて作られる「かまぼこ型」をした仮設倉庫です。

組み立ては大人が力を合わせれば、1日で完成します。倉庫の使いみちは地元の方々の仕事用具入れ、被災した家屋の中にある家具や荷物を補完したりなど。以来、約30棟のドームを地元の方々と協力しながら建てて参りました。DYIドームは静岡のものづくりおじさん釘宮正孝さんが考案され、復興支援ボランティア白樺隊に寄与していただきました。

◎今回の熊本の支援

熊本への支援は、今回で3回目。網田力(おおだつとむ)さんからの支援要請で、熊本県城南町に6棟建てることに。私が現地入りした時はすでに、屋根部分の塗装を終えていました。午後からは屋根部分を作ります。

今回の白樺隊のメンバーをちょっとご紹介。

千葉県市川市から来たヤマサキアトリエ一級建築事務所を営む、建築家の山崎裕史さん。

東日本大震災の復興ドーム作りにも参加されています。

「今回来たのはまず、建築家として被災した家屋がどのようになっているのかを確認したいという気持ちがありました。震度のレベルに対してどういう風な被害があるのかを知っておくことで、建物として被災をある程度未然に防げることがあるかもしれないので。あとは一緒に汗を流して、地元の方のために役立ちたいと考えています」

山崎さんはいつも落ち着いていて冷静、黙々と仕事をこなしてくれる縁の下の力持ち。専門家ならではの視点でドーム作りを粛々とサポートしてくれました。

女性スタッフも活躍しました。神戸市垂水区から来たマルちゃん。彼女は美大受験の学生や小さい子供向けに絵画を教える絵描きの先生です。のんびり柔らかい彼女の魅力に、地元の子供たちも思わず笑顔に。スタッフみんなが癒されていたのも事実です!

「私が営む小さな雑貨屋に、偶然テツヤさんと息子さんが遊びに来られて、絵を描いている話をしたらウチで絵を描いてみないかと誘われて。そんな流れで熊本まで来ちゃいました。どこでご縁があるかわからないですね!ここの子供達と遊ぶの、本当に楽しいです」

また、同じく神戸市垂水区から杉本建築工房代表の杉本太一さん。

本当に頼りになるみんなのアニキ的存在です。

目配り気配りが素晴らしく、仕事がとにかく速い速い!

義理の息子さんを連れてきて、親子仲睦まじくハイチーズ。コミュニケーションができてうれしく思っているようです。杉本さんは普段、ランニングにサーフィン、山登りなどアウトドアはお手の物だとか。こんなお父さん、最高ですね!

そして我らが隊長である株式会社テツヤ・ジャパン代表取締役木村哲哉。地元のチビッコにお絵描きのサポート中。

最後に、右腕である小寺賀子。

調子に乗った顔をしておりますが、一日中働きっぱなしで本当は汗だく。いつも笑顔で全国に営業にいく旅女は、人一倍努力家だと思っています。

左の青いつなぎが印象的な芳崎さんは前回もお手伝いに来ていただきました。本職は栄養士らしいのですが大工仕事の腕前たるや、かなりのもの!最後の建具作りでは二人三脚でよしこさんと奮闘されていました。

◎網田家のみなさん

家主である網田(おうだ)稔さんの家は約築60年。かなり頑丈なつくりであることは梁の太さから見てとれます。ですが地震の際は相当揺れて、本当に怖い思いをされたそうです。写真の様子は休憩の合間にお弁当を頂いているところなのですが、床は斜めでボールを置けば転がっていく状態。

実は私、到着した当初はぼんやりとしていました。

突然やってきた知らない私を受け入れてくれる網田家の方々は、本当に心優しくおもてなしをしてくださいました。飲み物や塩飴、よく熟れた西瓜に九州名物しろくまアイス…端から見れば親戚同士の集まりのようにも見えたかもしれない。でもそうじゃない。城南町だけじゃなく、隣の益城町は雨漏りを防ぐブルーシートで保護した屋根のある家屋がかなりある状態です。震災から4ヶ月経た今、報道は少なくなったものの、仮設住宅で暮らす方々もまだいらっしゃいます。しかしながら、快く受け入れて頂いたからには、私たちにしかできないことを今ここでやるべきなんだとシンプルに気がつきました。

網田家の方々は本当に元気で、子供たちが明るくてとにかく“楽しかった” 。ボランティアにおいて「楽しかった」と言うのは正直憚かるかもしれません。でも単純に、炎天下38度の中で汗水を垂らして働くことは、楽しいと心から感じていました。これは現場にいたみんなが思っていたことだと確信します。誰かのためとか町のためとか自分のためとかじゃない。ただ単純にみんなで行うものづくりが楽しい。そう思える瞬間が、あの場所にはありました。

最後の建具づくり。ここが難しいです。丁番をつけて扉の開け閉めを確認します。

設営は朝11時からはじめて17時半に終了。一棟のDIY復興ドームができあがりました!

なんでしょう、この一体感。網田家の皆様と白樺隊、全員がひとつになって作り上げたDIY復興ドーム。もちろん倉庫としての機能が果たせるのは当たり前ですが、決してそれだけではない時間と結束力が生まれました。

復興とは、決して容易なものではないことは、白樺隊全員が重々承知していると思います。でも、出来上がった頃には全員が笑顔なんです。被災者の方々も、ボランティアで行っているスタッフも、同じ気持ちだと思います。お互いがお互いに感謝の気持ちを示しながら、楽しい時間を共有できました。熊本の暑さが一層、気持ちを盛り上げてくれたかもしれません。

今回の旅の目的や気持ちがはっきりとしたところで、具体的な復興ドームの作り方とそのしくみについて、後半で取り上げたいと思います!

写真と文/まつもとまゆみ

◎テツヤジャパンはロシア白樺耐水合板の専門商社です◎

◎本棚など簡単な家具もお気軽にお作りします◎

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